破滅する人間


832 1 sage 2010/05/18(火) 00:38:20 ID:xfeepiWk0
一ヶ月ほど前の事、洒落怖まとめサイトで「人に生える木」という話を偶然読み。その話が私がまだ学生だった
15年ほど前、当時よく飲みに連れて行ってもらっていた民俗学の教授の話と一部が“非常に良く似ている”
ため。何か解決の糸口になればとその話をここに書こうと思う。
予め書いておくが、あくまで「一部が似ている」というだけで、情報が不足しており同じ内容なのかははっきりとは
解らないという事を念頭に読んで欲しい。

ある日の午後、教授が講義の時間中やたら機嫌よくしていたため、何かあったのかと聞いてみると。以前から
探していた古書を偶然手に入れ、元から所持していた本の内容の一部を補完し、尚且つ矛盾部分を繋げる
エピソードがあったので、想像以上の収穫でつい浮かれてしまっていたらしい。
詳しい話は今日の夜にでもしてくれるという事で、いつも行く飲み屋で待ち合わせする事にした。

その古書は明治時代に発行された小冊子のようなもので、中国地方の伝承や呪術などのエピソードをまとめた
本らしい。
当時古書の名前も聞いたはずなのだが、流石にタイトル名までは忘れてしまった。

以下は当時教授が酔っ払った勢いで話した内容の中で、「人に生える木」と関係していそうな部分のみを抜粋。
今から500年近く前、中国地方のとある神社で「ある儀式」が行われていた。
それは、人の運命を見通す事の出来る能力を儀式によって依代の体に降ろし、人の吉凶を占うというもの
だったという。
これはこの神社の神官の家系の血筋のみ依代の資格を持ち、当時その地域でかなりの地位を持っていた
らしい。しかし、当時その地域を治めていた大名がこの能力を危険視し、圧力をかけて儀式そのものを完全に
中止させ、その代でこの儀式は完全に絶たれ、儀式の方法も一切継承されず歴史から消え去ってしまった。

ここまでは教授が元から持っていた古書に書かれていた内容。
ただし教授は、儀式を中止するには動機が非常に弱く、実際には他に何かあったのではないかと考え、
関係する史料を20年近く探し回っていたのだが、それがつい最近偶然手に入ったのだという。
そこにはこう書かれていた。

833 2 sage 2010/05/18(火) 00:39:10 ID:xfeepiWk0
まずこの儀式は、「人の運命を見通す」というよりも「破滅する人間をみつける」という類のもので、吉凶を
占うという類の物ではない。
儀式によって神霊の力を借りて「破滅する人間」を見分けることが出来るようになった依代は、その人物の
背中に「ムカデが寄生する」という形で破滅の兆候が見えるようになるらしい。
このムカデ、始めはごく小さいムカデなのだが、寄生した相手の運気や精気を何年にもわたって吸い続け、
やがて寄生した相手よりも大きくなり、完全に寄生対象の運気と精気を吸い上げると体から離れどこかへと
行ってしまう。
すると、完全に「生きるための力」そものを失った寄生対象は破滅し死亡するらしい。
この神社は、依代によってムカデに寄生された人間を見つけ出し、それを「祓い」「運気と精気を犠牲者に戻す」
事を生業としていた。

ところがあるとき、この神社の傍系の家系の家系が反乱を起こし、地域を二分する勢力争いとなり、その時に
傍系の一族の者が神社から「禁忌の儀式」とされる書物と祭具一式を盗み出した。
この禁忌の儀式とは、「ムカデを使役する技法」について書き記されたものであり、悪用すればいくらでも
攻撃対象を「呪い殺す」事ができる。
更に厄介なことに、この一族はこの儀式を研究・発展させ、ムカデの集めた運気・精気を自ら利用する方法
まで手に入れ、本家の勢力ではとうてい太刀打ち出来ないほどになってしまったために、当時その地域を
支配していた大名に助けを求め、傍系の一族郎党全てを根絶やしにしたというのが真相らしい。

そしてその後、神社の方もこれ以上儀式が悪用されないよう。「依代の儀式」そのものも廃止し、儀式は
伝承のみが一部地域に残るだけとなったと古書には書かれていた。

834 3 sage 2010/05/18(火) 00:39:58 ID:xfeepiWk0
・儀式によって“見える”ようになる(自然に見えるようになるものではない)
・ムカデ(動物)と木(植物)の違い
・儀式の方法は数百年前に完全に絶たれている(継承者がいない)

という相違点や矛盾点はあるが

・破滅する人間が見える
・寄生体が成長する
・寄生体が消える(折れる)と寄生対象が破滅する

など、共通点も多い。
木の見える彼女がこの神社の(当時の)本家の家系となんらかの関係があったという可能性はないだろうか。
また、傍系の家系が実は現在まで生き残り続いていたとすると、突然「木の生えた人々」が一気に増えた理由も
説明できるのではないだろうか。
ただし、これはあくまで「伝承」であり、断定できるような根拠は何もないが…

ちなみに、この伝承について更に追跡調査をしたいのだが、実はそれは今となっては殆ど不可能になって
しまっている。
なぜかというと、この教授は既にお亡くなりになっており、奥さんはご存命なのだが、人に生える木の話を
見た後、GW中に奥さんに連絡を取ってみたところ、既に教授の蔵書は何年も前に複数の大学に寄贈してしまっており。
更に歴史的価値の薄いものは古物商に売ってしまい現在一切残っていない。
GWあけに寄贈した大学にメールで問い合わせ、教授の家から寄贈された蔵書の目録をメールしてもらった
のだが、その中にそれらしき文献は存在しなかった。
ということは、古物商に売りに出された中にあった可能性が高く、最早追跡も出来ない。
非常に中途半端になってしまって申し訳ないのですが、私の知っている限りの情報は以上です。