蠢くモノ


596 聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o sage 04/01/06 19:14
杣人に聞いた話。
山道を歩いていると、後ろから チリン… チリン… と鈴の音が聞こえてきた。
誰かが熊よけの鈴を付けているのだろう、と後ろも見ずに歩み続ける。
チリン… チリン… 音は次第に近づいて、いまや真後ろから聞こえてくる。
さすがに気になって振り向こうとした矢先、冷んやりとしたものがうなじに触れた。
リン… 頭蓋の内側で鈴の音が響いたかと思うと、口の中に冷たく丸い金属の感触。
思わず口を開くと、ソレは舌の上を滑って外へ消えた。
周囲を見回しても動くものは何もなく、鈴の音だけが遠ざかっていった。