- 343 雷鳥一号
sage 03/11/29 01:17
- 知り合いの話。
随分と前のこと、山間の集落にある親戚の家に泊めてもらったのだという。
その親戚は猟師をしていたが、その時は物忌みをして山に入っていなかった。 ヒヒサルを殺してしまったからだそうだ。
日本に狒々がいるのかと驚いて尋ねると、ヒヒサルというのは狒々のことではなく、
歳経た古猿が化けた妖怪を指す言葉で、その谷独特の呼び名だという。 ただのヒヒとも、またオニサルとも呼ぶそうだ。
ヒヒは鉄砲で射抜いても死なず、山の獣を食い尽くして最後には自ら滅ぶという。
一種の猿神ともいえるので手を出せずにいたが、集落の赤子をさらったことが きっかけとなり、ヒヒが現れると速やかに滅ぼすことになったらしい。
武器ではヒヒを傷つけることはできないので、滅ぼす時は火を使う。 追い詰めたヒヒに、油を掛けて火をつけたのが彼だった。
山の神を殺したための物忌みと言う訳だ。 ヒヒが死ぬと、山荒れといって獲物がしばらく取れなくなるのだそうだ。
山菜だけの味噌汁をよそいながら、そう教えてくれたという。
- 344 聞いた話
sage 03/11/29 02:10
>>343
これは、内容的に「キヒサル」の話と重なるところが多々ありますね。 ・鉄砲でも死なない ・山の獣を食い尽くす ・火で殺す
・忌みごとが降り掛かる。
以前から「ヒサルキ」というモノは山との関わりが深いのではないか?
という風に考えていたので、一連の話には好奇心を刺激されます。
あと、異人伝承を連想させる点も興味深いですね。
先に述べた婿殺しの話は、異人殺しという風に読み解くことができるので、 これらの話から、山に棲む異人の存在が浮かび上がってきそうです。
と、気が付けば、随分まとまりのない文章になってしまいました。 申し訳ありません。
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