咆哮


102 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 03/12/19 20:57
先輩の話。

夕暮れ、深い森の中を歩いていた時のこと。
森の下斜面から、複数の激しい犬の咆哮が聞こえてきた。
野犬か!? 身構えたが、逃げる間もなく声はどんどん近づいてきた。
硬直した彼のすぐ前で、草むらが大きく揺れて分かれた。

何も見えなかった。
彼の目の前を、犬たちの声だけが横切っていった。

吠える声は林道を横断すると、再び森に入り登っていったという。
あたりの地面を調べると、かすかにだが動物の足跡が残されていたそうだ。