帰還


621 本当にあった怖い名無し sage 2010/12/15(水) 01:06:47 ID:iDxG5mHH0
ちょっと長いうえに稚拙な文章ですけど、投下させてもらいます。
先日、曾祖父の七回忌があった時に、祖父から聞いた話です。
もしかしたら、よくある戦時中の話かもしれません。

第二次世界大戦が終戦する1年ほど前の話です。
代々うちの家は神主の家系で、免許みたいなのが出来るずっと前から神主を営んでたそうです。
平安時代の神祇官(?)ぐらいまでさかのぼるんだとか。(流石にこれは信じてませんけど)
そう言うわけですから、地元ではいわゆる名士の部類に入る家でした。

それを目に付けたのか、単に手近な神主だったから科は知りませんけど、曾祖父は軍の従軍神主として招致されたそうです。
そんなこんなで数日経ったとき、曾祖父は作戦の成功祈願を行うために軍の飛行場へと呼ばれました。
何の成功祈願かは、言うまでもなく特攻だったようです。
曾祖父は皇室を尊敬して、陛下に忠誠を誓っていた、右翼の様な人でした。

そんな曾祖父でも、特攻には反対だったようで、一応全身全霊を込めて祈願をしたそうですが、特攻に向かう若い兵に
「怖かったら帰ってきてもいいんだよ」
と小声で言ったそうです。
当時曾祖父は30代半ばぐらいでしょうか、自分より若い前途ある青年を死地に追いやるのが忍びなかったのでしょう。
その時特攻に赴いたのは三人だったらしく、全員に優しく諭すように言ったそうです。
ですが、結局翌日になっても、翌々日になっても、三人が帰ってくる事はありませんでした。

622 本当にあった怖い名無し sage 2010/12/15(水) 01:07:47 ID:iDxG5mHH0
それから一カ月ほど経ったときの事、突然曾祖父が歩兵の中隊を率いる事になりました。
階級は低かった(元々軍人じゃないから当然)ですが、温厚な性格と日ごろから兵たちに優しく接していたせいで慕われていたせいか、急に任命されたと聞きます。
それで、出立の前日、いろいろ準備している最中に、ボロボロの服を着た兵士が歩いてきました。
見おぼえがある顔だと思って、暫く眺めていると、一か月前に特攻した若い兵の一人だと気付いたそうです。

「よく帰って来た」
と曾祖父が言うと、
「先生のおかげで帰ってこれました」
と若い兵は言ったそうです。
(曾祖父は当時軍中で兵たちに先生と呼ばれていたそうです)
曾祖父はその後、九州へと派遣され無事帰還する事が出来ました。

それから、日本が戦争に負けて数年経った頃の話です。
相変わらず曾祖父は神主を続けていたそうですが、ある日ふと若い特攻兵の事を思い出し、あって話をしようと考えたそうです。
いろんなところにかけあった結果、住所を知る事が出来ました。
翌日に、曾祖父はその若い特攻兵の実家へと向かったそうです。
そこで、田植えをしている特攻兵の母親に曾祖父は会いました。
名前を告げると、母親は
「貴方が息子の言っていた神主の先生ですか」
と言って、家の中に招き入れてくれました。


623 本当にあった怖い名無し sage 2010/12/15(水) 01:08:28 ID:iDxG5mHH0
そのまま母親が案内したのは、仏壇の前。
其処には、あの若い特攻兵の写真が飾られていました。
曾祖父は驚いて、母親に尋ねました。
「急な病気で亡くなったのですか」
母親は、泣きそうな顔で、ですが笑って言ったそうです。
「息子は、貴方の祈願して下さった特攻で亡くなっております」


曰く、曾祖父が特攻兵と話した翌日に、田植えをしている母親の前にふと、息子が現れたそうです。
息子の帰還を喜ぶ母親に、息子は
「自分は親不孝者で、先日の特攻で死んでしまったが、神主の先生のおかげで最後に帰ってこれた」
と告げて、ふっと消えてしまったそうです。
その後、曾祖父の前に姿を現す事はなかったのですが、彼の墓に参った時に「ありがとうございました」という声が聞こえたと言います。


別スレでスレ違いと教えて頂いたので、此方に投下させて頂きます。
拙い文章で申し訳ありません。

627 本当にあった怖い名無し sage 2010/12/15(水) 03:34:15 ID:nZ94gq1h0
戦時中に国外で亡くなった人の魂はなかなか日本に帰れなくて、
生きてる人間についてくるしかないっていうよね。
過去スレでもそういう話がいくつか出てた。
(硫黄島への定期便に乗務してる自衛隊員さん?の話とか、
海外旅行に行ったら連れてきたとか)

その兵士がまっすぐ家に帰れたのは本当に稀有なことだと思う…
導いてあげられたおじいさんも素晴らしい人だ。
いい話をありがとう。

634 本当にあった怖い名無し sage 2010/12/15(水) 18:24:52 ID:h+XwjhHC0
神主を呼んでの祈願って、やっぱり無事帰還を願ったんだろうか。
でも、帰りの燃料を積んでなかった話もあるし、まさか成仏祈願?はないし。
(神道では神様って事になる?無知ですみません)

昔の帰還兵の小野田さんは、幾ら説得しても納得せず、
自分の上官だった人に命令を出してもらって、やっと日本に帰ったというよね。
逃げ帰ってはいけないと思っていた兵隊さんたちは、
亡くなっても勝手に日本に帰るのは許されないと思う気持ちがあるのかも。
曽祖父の方が「帰ってきていい」と言ってくれたから、すんなり日本に帰れたのだとしたら、
それこそご祈祷した意味があったのかも知れない。
むろん、生きて帰ってきてくれるのが一番だったとは思うが。


635 本当にあった怖い名無し sage 2010/12/15(水) 21:16:35 ID:XK/PPpr20
>>634
攻撃成功のための祈願だろうよ。
特攻が成功したのは自爆攻撃だということが気付かれてなかった極初期のみ。
その後は特攻する前に打ち落とされるのが多かったからな。
故障で途中で引き返すのもいたり、そのまま引き返さずに海に落ちたのもいたりしたらしい。

小野田さんも帰ってきたとき“恥ずかしながら”って言ってたもんな。
帰っちゃ行けないという思いのせいで今も帰れずにいる人たちがいるのかもしれないな…。
せめて魂だけでも帰ってこれて良かったと思う。
管総理が硫黄島や他地域の遺骨の回収の予算を増やすって言ってる事に対して否定的な意見を言っている政治家もいるらしいが、
確かに今生きてる人たちに直接の恩恵はないだろうが、かつて国の犠牲になった人たちをせめて迎えに行かなくてどうするんだ、と思うよ。
まあ、遺骸にこだわるのは日本人特有の考えらしいけどな。死んでしまった後の体はただの物体と考える国も多いらしい。