出会い

173 本当にあった怖い名無し 2006/04/08(土) 03:07:49 ID:KthCNPbI0
書かせていただきます。

小学校のときからいじめられ、中学になってから耐えられずに自殺しようとしたとき、
小遣いもなかった私は、自分が行ける距離の一番高い駅ビルの屋上で、不思議な人に出会いました。
その人は女性で、後で聞いたところ17歳(当時)だったそうです。
その人が一言、
「もし自殺する気なら、あなたの人生を私が買います」
何事かと思いました。
よく見ると、右手に盲人用の白い杖。
しかし、その人の目は明らかに私を捉えているようでした。

促されるように、ずっといじめにあってつらい事、死んでしまいたいという事を涙ながらに語っていました。
気がつけば夕暮れも夜の色になり、その人は名刺を手渡しました。
「話したいことがあれば、ここにきなさい」と。

次の日から、私はその人の家に通うようになり、いろいろな話をしました。
はじめはいじめの話題ばかりだったのが、いつしか楽しかったこと、思い出に残ったことなども話すようになり、
その人も、うまくまとめられない私の話しをゆっくり聞いてくれました。

つづく

174 173 2006/04/08(土) 03:22:11 ID:KthCNPbI0
その人にはお兄さんがいて、学校から帰ってすぐにその人の身の回りの世話をしていました。
いつしか私もそれを手伝うようになり、それを楽しみにするようになりました。

しかし、出会ってから半年が過ぎるころ、床に伏せることが多くなり、ほとんど寝たきりになってしまいました。
そのころになってようやく、
「私はこの人のことを何も知らない」
と気づき、話す側から聞く側に回るようになりました。
ゆっくりと削られていく時間の中で、その人の18年の人生を、私は噛み締めるように聞きました。
そして、出会ってからちょうど一年目、その人はゆっくりと息を引き取りました。
お兄さんは、
「この子が安らかに逝けたのは君のおかげだよ。ありがとう」
と、お葬式のときにいってくれました。
むしろお礼を言いたいのは私のほうなのに。
その後少しして、自宅のほうに入ってみたら、引っ越しましたの張り紙。
私は門の前で泣いてしまいました。

176 173 2006/04/08(土) 03:41:41 ID:KthCNPbI0
それから10年。
私も18になり、トラックの運転手になっていました。
その日、夕方に荷物を積み、夜のうちに目的地へ移動中。
突然濃い霧のようなものが立ち込め、そこが本当に道路なのかさえわからなくなりました。
危険を感じた私はすぐに車を止め、霧が晴れるまで待つことにしました。

すると前方から、二人の人影か近づいてきました。
なぜだかすぐにあの二人だと気付き、車を降りて駆け出していました。
二人はにこやかに微笑んでいて、私は泣きながら抱きつきました。
それから、時のたつのも忘れて、10年間にあったいろいろなことを話し、
二人は昔のように聞いていてくれました。
話が終わると、二人は泣いていました。私は「そろそろお別れなんだ」と思い、
「ありがとう。本当にありがとう」と言いました。また、私は泣いていました。
二人は「あなたが幸せなら、私たちは安らかにいられる」と言い、
「もし私たちの最後の言葉を忘れてしまったら、あの場所へきなさい」
と言い残し、霧の中に消えていきました。
気がつくと霧は晴れ、車は路肩に止まっていました。

翌日、二人の家のあった場所に行くと、そこは墓地になっていました。
十数個ある墓石に刻まれているのはすべて同じ苗字
その中に新しい墓がひとつ。
その裏には二人の名前がありました。お兄さんが亡くなったのは、その人が亡くなってちょうど一年後でした。
花を添え、線香をたき、手お合わせていると、頭の中で二人の声が聞こえました。
そして、私は最後の言葉を思い出しました。

「私たちの分まで生きなさい」と…。

177 173 2006/04/08(土) 03:51:57 ID:KthCNPbI0
今でもあの二人に言いたい。
「私は今でも生きているよ」

>>176
>それから10年。
は5年の間違いでした。
今年がそのときから10年なので、混乱したようです。
お詫びの上、訂正させていただきます。