読書
623 本当にあった怖い名無し 2005/04/07(木) 03:10:47 ID:MSxl9sDg0
俺が小6の時、盲腸で10日ほど入院する事になった。
初めは動けなかったが、ある程度回復する腹は痛むものの自由に歩けるようになった。
そんな頃のある夜。
小便がしたくなった俺は12時を過ぎた頃、トイレに行った。
点滴のついたキャスター?をカラカラやりながらトイレに行った俺が用を足してトイレから出た時の事だった。
トイレのまん前にはその階のロビーがあって、イスやテーブルや雑誌、それにテレビまであった。
もちろんその時間はテレビも消えていて、ロビーの灯りも消えて緑色の薄暗い非常灯しか点いていなかった。
にもかかわらず、そのロビーに若い男がいたのだ。
その男は薄暗い灯りの中で文庫本を読んでいた。
ちょっと異常と言えるスピードでパラパラページをめくるその男は、俺がトイレから出てきたにも関わらず、こちらに気づいた様子も見せない。
非常灯に照らし出されたその男の体ははっきりと見えたので幽霊の類ではなかったと思う。
それでも怖くなった俺は、足早に自分の部屋へとパタパタと足音を響かせて戻っていった。
そして気づいた。
俺が用を足してる時に、トイレの外でスリッパの足音なんてしてなかった。
あの男はどうやってあそこまできたのか。そして、なんであんな薄暗い中で本を読んでいたのか。
それは20歳を超えた今でもわからない。