94 闇男爵。 sage 2006/07/08(土) 00:23:44 ID:kXRn28xCO

暗い……。
俺はどうしてこんな所にいるんだ?
遡る事、数時間前…。〇〇山の法面保護工事に、
新現場監督として、
一人の男がやってきた。
仮に、岩田とする。
岩田は社長の甥で、
新卒の割にいきなり、好待遇で、
現場の指揮をする事になった。
無知な彼は、
土地を鎮める儀式を省き、(神主に祓いをしてもらう儀)
工事を開始した。
岩田が、
設計図を片手に、
掘削場所を下見していると…
急に地面が下がり、
岩田は古い穴に落ちてしまった。


95 闇男爵。 sage 2006/07/08(土) 00:46:25 ID:kXRn28xCO
>94 の続き
岩田は真っ暗な穴の中で、
助けを求めたが、
何故か、誰も助けに来ない。
まわりに作業員もいたのに…
数時間、叫び続けている。
何の音も聞こえない。だが、、
暫くすると……
「…ア ……ヨ」
と微かだが人の声がした。
やっと助かる!
と安堵した瞬間!!
「あつい〜〜!」
「助けてくれ!」
「いやだ!母さん〜!」
「死にたくない」
何十人もの人のうめき声、悲鳴、断末魔が聞こえてた。
岩田は恐怖に震え、
耳を塞いだ…
その時、上から
「大丈夫ですか〜」と作業員の声がした。
助けられた岩田は、
「何ですぐに助けなかった!」と怒る。
「…すぐに助けたじゃないですか、監督落ちてから数秒しか経ってないですよ?」


96 闇男爵。 sage 2006/07/08(土) 00:48:07 ID:kXRn28xCO
>95 の続き
馬鹿な…確かに数時間は経っていたはずなのに…
岩田は穴に落ちた時に、違う時間をさまよっていたらしい。
後に、調査報告書に目を通すと…
〇〇山は戦時中、焼夷弾の集中を受け、
防空壕の中にいた人が何十人も蒸し焼きにされ、命を落としたという。
すぐに神主を呼び、
土地を鎮める儀式が行われた。
一部、脚色、仮名を使用しましたが、これはノンフィクションで、この穴は北関東に実在します…。
穴 完