猿夢2

108 前スレ1 2006/12/26(火) 14:39:32 ID:cb4iXbEM0


家に帰ると疲れていたのですぐにベッドに横になった。
しかし目が覚めるとそこは俺の自宅ではなかった。俺はどこかの暗い部屋で椅子に座らされていた。
そこは電球が一つだけオレンジの光を放っている以外は何も無い、地下のガレージの様な部屋だった。
「ここはどこだ?」そう言おうとしたがうまく発音できない。俺は口に猿轡をはめられていた。
立ち上がって歩こうともした。しかし俺は椅子の脚に自分の足を固定され、手に拘束具をはめられていた為動く事が出来なかった。
仕方が無いので俺は首を動かして周囲の様子を窺う事にした。電球の光は微々たるものであまりとおくまでは見渡せない。
自分の背後に壁があるのが分かった。レンガで造られた壁だ。それ以外は何も無い。
右も左も前も、暗闇が覆っていてそれほど遠くまで見渡すことは出来なかった。

しばらく時間が経った。すると不意に右側からうめき声が聞こえてきた。見るとさっきまで誰もいなかった場所に二人の人間がいた。
皆俺と同じ様に椅子にロープで固定され、拘束されている。二人とも、怯えた目をしていた。

「次は活けづくり〜活けづくりです」
不意にそんな無機質な声が辺りに響いた。だがどこから声がするのか分からない。すると一番右側にいる男性が悲鳴に近いうめき声を上げた。
見ると彼の座っている椅子は暗闇から伸びて来た手によって暗闇に引きずり込まれようとしていた。俺達は何もする事ができなかった。
ただ恐怖に歪む男性の顔を見ていた。
やがて男性の姿は完全に暗闇に飲まれ、見えなくなった。聞こえていたうめき声も聞こえなくなった。
すると男性が引きずり込まれた暗闇から、何かが流れてきた。どす黒い……血のように思えた。
どうやら俺の椅子の下に排水口があるらしく、液体はそこに向かって流れてきていた。

109 前スレ1 2006/12/26(火) 14:40:12 ID:cb4iXbEM0
「次はえぐり出し〜えぐり出しです」
再び声がした。今度は俺の隣にいた女性が、先ほどの男性と同じ様に闇に引きずり込まれて行った。
女性は引きずり込まれる時はさほど声を上げていなかった。しかし暗闇に引きずり込まれた途端、まるで断末魔の叫び声の様な彼女の声が周囲に響いた。
その後訪れる耳に痛いほどの静寂。俺は彼女が引きずり込まれた所を凝視していた。すると先ほどと同じ様に、また血の様な物が流れてきた。
今度は液体に流されて何か球状の物が流れて来ていた。一発で分かる。目玉だ。

俺はここに来て始めて恐怖を感じていた。二人が死んだ。次は俺だろうか。
俺は逃げるために必死でもがいた。だがロープや拘束具は硬く締められ、外すことが出来ない。
不意に先ほどまで僅かな光を放っていた電球が消え、俺の視界は完全に暗闇に染められた。そして聞こえてくる、例の声。
「次は挽肉〜挽肉です」
椅子が引きずられるのが分かった。俺は目を瞑った。これは夢だ。そう思った。それ以外には有り得ない。
何かの機械の様な音が耳に入ってきた。徐々に近付いている。俺は目が覚めろと強く念じる。だが覚めない。機械の音はもうそこまで来ている。
夢が覚めるのが先だろうか。俺が死ぬのが先だろうか。俺は目を瞑りながら、これが夢である事を強く願った。
110 【109に便乗。すみません・・・】 sage 2006/12/26(火) 22:40:47 ID:SQQl9bWIO
すんでの所で目が覚めた。
夢うつつな俺の頭に、猿のアナウンスが聞こえた。
『お大事にぃ〜〜・・・』
(助かった・・・)
目を開けようとすると、・・・瞼が重い。
カチャカチャと音が聞こえるし、なんだか慌ただしい気配を感じる。
(まだ、夢か・・・?)
ようやく目を開けることができた。
そこには・・・。
猿の代わりに、手術衣の男達がいた。
『・・・な・・・にを・・・して・・・い・・・?』
一人の男が振り返った。
『麻酔切れちゃったか〜。まぁ、いいや。このまま続行で』
と、他の男達に言った。
身体は動かないし、無視されてるし、起きぬけになんなんだ。この状況は。
訳が分からない。
『・・・お・・・い・・、・・・・どぉ・・・し・・て・・・?』
男は、俺の方に首だけ向けて答えた。
『・・・ん?ロボトミ−』
・・・チュィィィィィィィィィ・・・ンンッ