サキマワリ


137 闇男爵。 sage 2006/07/18(火) 00:00:38 ID:TUXpQPD5O
サキマワリ
ある夜、
塾で遅くなった小学生のT君は、
憂鬱だった。
T君はとても怖がりで、夜一人でトイレにも行けない。
自宅に帰るには、
薄暗い道を通らなくてはならない。
一緒に帰る友達も、
今日はいない。
ため息をつきながら、自転車をこぎだした。気分を紛らせる為に、T君はドラゴンボールの歌を唄いながら、
自転車を速めに漕ぐ。

138 闇男爵。 sage 2006/07/18(火) 00:10:17 ID:dV9gO10VO

しばらく進むと、
橋があるのだが、
その橋は街灯が一つも無く、
恐ろしく暗い。
一気に渡る事にしたT君。
歌はセイント星矢に変わっていた。
すると、道の横にボンヤリと黒い影が見えた。
恐怖心で、
更にスピードをあげて通り過ぎる。
しかし怖いもの見たさで黒い影をチラ見してしまった。
影は大きめの日本人形。…に見えた。

139 闇男爵。 sage 2006/07/18(火) 00:21:32 ID:dV9gO10VO

涙目で自転車を漕ぐT君。
橋を過ぎるとサイクリングロードを通る。
しかし…
また少し先にあの影が…
引き返し、違う道を行くT君。
すでにT君は泣き出してしまっていた。
田んぼがある道に向かうがそこにもやはり…。
もうやけになって、
人形…らしきものを通り過ぎようとした。
しかし、チェーンが切れてしまい、
転んでしまった。
…人形だと思った影は、女の子だった。
なぜなら、
無表情のはずが、
おぞましい笑いを浮かべているからだ。


140 闇男爵。 sage 2006/07/18(火) 00:40:09 ID:dV9gO10VO

失禁してしまったT君。
人形の様なモノは、
T君を見ると、
無表情に戻り、
「オマエデハナカッタヨウダナ」
と低い男の声で言った。
……急に車のライトに照らされたT君。
化け物は消えていた。ドライバーが降りて来て、大丈夫か?と聞かれ安堵した。
その車で家に送ってもらった。
翌朝、学校に行くT君は昨日送ってもらった車が橋から落ちているのを目撃する。
救急車で運ばれる瀕死のドライバーの傍らには、あの少女が満面の笑で微笑んでいた。
サキマワリ 完