マイナスドライバー

141 1 2006/07/18(火) 12:50:22 ID:1kVy5bPp0
間が空いてしまったorz

父と母が死んだのは今から数年ほど前の事だ。
当時私はまだ幼稚園に通っていて、両親が亡くなった時、私は友達の家で遊んでいた。
両親が何者かに刺されたという連絡が来た時には、もう二人とも息を引き取っていた。

両親がいなくなった私は、唯一の親戚である叔父の家に引き取られる事になった。叔父は母の弟で、一人暮らしだった。
彼は異常なペドフィリアだったため、幼い私を喜んで引き取ってくれた。もちろん、私の体目当てで、だ。
ただ、叔父がペドフィリアである事を知っている人は私以外にはおらず、私も叔父と暮らし始めてから分かった事なので、毎日のように私の体を嬲る叔父から私を救い出して

くれる人など、当然いなかった。
叔父はその太く皺が寄った手で私の性器を触り、私に彼のモノを咥える事を強要した。
私はその様な叔父との生活に、数年たった今まで耐えて来た。まさに地獄だった。
ただ私は叔父が怖かったため彼から逃げることなど出来なかった。抵抗したら、殺される気がした。

数年経って小学二年生になった。
その日、叔父の家の水道管が破損し、私達は近くの銭湯に行く事になった。
私は一人で女風呂に入りたかったが、叔父が半ば強制的に私を男風呂に連れて行った。
また、私に何かするつもりなのだろうか。私は体を震わせた。

142 1 2006/07/18(火) 12:50:59 ID:1kVy5bPp0
私達の訪れた銭湯はかなり歴史のある所らしく、壁はすすけていて、汚らしかった。
当然、お客もいない。風呂場は私達の貸切状態だった。

体を洗って、湯船に浸かっていると、壁に穴が空いている事に気がついた。
穴はそれほど広くなく、人差し指ほどの大きさしかない。
気になって穴を覗いて見ると、どうやら穴はボイラー室に繋がっているらしく、見た事もない機械類が目線に飛び込んできた。

しばらく夢中になって覗いていると、不意に穴が何かによって遮られた。
最初はなにが起こっているのかよく分からなかったが、しばらく経つと穴をふさいでいるのが誰かの『目』ということが分かった。
つまり、向こう側からも、この穴を覗いているのだ。正体の知れない誰かが。
穴を覗く誰かの目は暗く、何の光も宿っていない。そのせいだろうか、白目がやけにきれいで、不気味だった。
私は気持ち悪くなってきたので、穴から目を離した。
すると、同時に穴から細い棒のような物が飛び出してきた。マイナスドライバーだった。

もしあの時私が穴から目を離さなかったらどうなっていただろう。私は戦慄した。
それと同時に、私の中にある考えが生まれた。
少しばかり時間がたって、叔父さんが体を洗い終えて湯船に入ってきた。ドライバーは、もう穴の中に戻っていた。

143 1 2006/07/18(火) 12:51:41 ID:1kVy5bPp0
叔父さんはキレイ好きで、いつも体を入念に洗う。それでも、彼の体からは異臭がした。
彼がお湯に浸かるのと同時に、お湯が汚れていく気がした。彼が私の両親を殺したのではないか。私の中にその様な考えが浮かぶ。
私は叔父さんに言った。
「ねぇ、こんなところに穴が空いてるよ」
叔父さんは最初、少しばかり怪訝な顔をしたが、やはり穴が気になるのだろう。彼は「どれどれ」と言って穴の中を覗きこんだ。
それが、彼の最後の言葉だった。
私は叔父さんの頭を押さえつけた。全体重をかけて。これが失敗したら、おそらく私は殺されてしまう。そう考えて無我夢中で叔父さんの頭を押さえつけた。

最初、叔父さんはなにやらもがいていたが、やがて何かがつぶれるような音がするのと同時に、彼の頭部から力が消えた。
ただ、叔父さんの頭部からはまだかすかな振動が伝わってきた。おそらく、マイナスドライバーが彼の目から侵入して、頭の中身を掻き混ぜているのだろうと、私は思った。
叔父さんのあごから滴り落ちる赤い液体を眺めながら、私は一人微笑した。