赤いクレヨン


202 本当にあった怖い名無し sage 2006/08/02(水) 18:01:29 ID:ZgNZ56EJ0
とある不動産屋が、東京に住む知人の不動産屋をからかおうと、
「東京で、一戸建てで1万円の物件探してくれよ」と電話をかけた。
それから1週間後にその不動産屋に、条件に見合った物件があるという電話がかかってきた。
さっそく行ってみると、不動産屋は驚いた。
外見はどう悪く見ても築2〜3年で、中もきれいで、新築といわれても疑うことができないくらいな奇麗な建物だったからだ。
そのとき床に、使いかけの赤いクレヨンが落ちていた。前の住人の忘れ物だろうと思い、不動産屋は何ら気にもとめなかった。

この物件を気に入った不動産屋は見取り図を書いてみることにした。
だが書いていくうちに、不動産屋はあることに気付いた。
− 2階に1部屋足りない!? −
ふと壁を見てみると、壁紙の切れ目があった。
ここが足りない部屋にちがいないと、不動産屋は、思い切って壁紙をはがしてみた。すると、あまりにも乱雑に打ち付けた釘と、奇麗にそろえられた板が現れた。扉があったのだ。
はやる気を押さえてその扉を開けてみると, 扉の向こうの部屋は、真っ赤なクレヨンで、
「おとうさんだして」「おとうさんだして」「おとうさんだして」
という文字で埋め尽されていた。

不動産屋は、薄気味悪いものを見たと思いつつ、自宅へ帰った。
家の扉をあけると、彼はおどろいた。
室内のいたるところに、「おとうさんだして」と書かれていたのだ。そう、あの物件で見た様な、真っ赤なクレヨンで。
唖然とする彼の耳に、ガタン!という物音が聞こえた。ハッとして見ると、何かがずるずるとはって出てきている。
姿形からして、小さな男の子のようだ。だが頬はこけ、目はぎょろりと飛び出し、まるでがいこつのように痩せ細っている。
逃げようと玄関の扉のノブをまわすが、扉が開かない。
そうこうしているうちに、男の子がやってきた。そしてこう言った。
「おとうさん だ して」