マイナスドライバー2

237 本当にあった怖い名無し sage 2006/08/13(日) 10:09:01 ID:5CWSjPfl0
私は、幼いころ、女湯の銭湯の、ボイラー室に続くドアの鍵穴をのぞいたことがあります。
最初にみたときは、何かにふさがれているようで、何も見えなかったのですが、
もう一度のぞいてみると、鍵穴のむこうに、薄暗闇の中動く風呂のボイラーが見えました。
夢中になってのぞいていましたが、ふと私が顔をはなした瞬間、
鍵穴から、マイナスドライバーの先端が狂ったように乱舞してきたのです。
私はおそろしくて、母親に何も言えませんでした。

それから何年もたち、私は社会人になりました。
ある晩私は残業で、ひとり会社に残っていました。
夜の11時、やっと仕事を終え、会社の社員専用口から出ようとすると、
鞄を落とし、中身を床に落としてしまいました。
やれやれとそれらを拾い、顔をあげると、ふとドアについた鍵穴が目にとまりました。
そのとき、幼いころのあの出来事がふと思い出され、私は、何の気なしに、右目でその鍵穴をのぞいてみました。
次の瞬間、鈍い痛みが走りました。そして、脳天をつらぬくような痛みが右目を支配しました。
目に何かを刺されたようです。私は気を失いそうになりながら、救急車を呼びました。
病院で処置を終えた私は、医師から信じられない言葉を聞きました。
右目に、マイナスドライバーが刺さっていた…と。

私の右目は、見えなくなってしまいました。
そしてこれ以降、私は何があっても、決して鍵穴をのぞくことはありません。
もし左目でのぞいてしまったら、その時は、左目をマイナスドライバーで潰されてしまうでしょうから。

おわり