恐怖症
ぽんぽん 2006/09/28(木) 21:18:31 ID:Bev2yVNV0
恐怖症

俺の名前は隆、ついこの間までライフセーバーのバイトをしていた。が、とある事情によりやめた。
その事情というのも、おぼれている女の人を助けに行ったら、それが化け物で、俺を海の底に引きずり込もうとしたからだ。
何とか逃げたものの、それから、俺は海だけでなく、磯の香りを毛嫌いするようになり、引っ越した。

引っ越した先は海の「う」の字も感じさせないs県の小さなアパートだ。
磯の香りもしないということで、ウキウキワクワクな最初の一ヶ月だった。しかし、雨が降って、様子は一変した。

ザーザーザーザー・・・鬱陶しい雨だ。と、どこからか磯の香りがする。
なぜだ?ここは海に関係のない場所のはず。それなのになんで俺を苦しめるあの香りがするんだ?

雨は一向にやまない、俺はなんかジュースでも飲んで気でも紛らわそう、と思って、冷蔵庫のドアを開けた。


519 ぽんぽん 2006/09/28(木) 21:23:19 ID:Bev2yVNV0
ザザーッ、飲み物などが入っているはずの所から出てきたのは、海にあるあの砂、ガキのいたずらか?と思ったが、
戸締りはしっかりしているし、朝ちゃんと中身が入っているのを見た。砂はまだまだ出てくる。磯の香りも酷くなってきた。

そのうち雨の所為か、部屋に浸水してきた。俺は臭いの元を知りたいがため、その雨を少量口に含んだ。
塩の味が口に広がる。俺は口の中のものを吐いた。急に水位が上がってきた。

どんどん水位が上がり、遂には部屋の天井までになった。水、もとい海の中にもがく俺、遂に肺の酸素をすべて出してしまい。
動かなくなった。遠のく意識の中で見たものは、床がすべて砂で埋め尽くされ、まるで海のようであった。そして
上の方から、俺を海の底に引っ張りこもうとした女がやってきた。

・・・・ああ、もう死んでいたのか・・・・あのときに・・さよなら・・里香。