押し入れに・・(+メリーさん)

622 2006/10/11(水) 18:45:17 ID:/W27Xmnn0
オチが分かりにくいかも…


私は今年4月から18年間住み慣れた町を出て、県外の専門学校に通っている。
一人暮らしに反対していた父をなんとか説得して、そんなに綺麗ではないけれど、格安でアパートも借りることができた。
家を離れてから半年が経ち、一人で炊事、洗濯、掃除をすることに慣れた頃、部屋の異変に気付いた。
学校から帰ってくると、棚の上に置いていたはずの写真立てや机の上のコップなどが床に落ちている。
最初は二階だからといって窓の鍵を開けたままにしていたから猫でも入ったのかと思っていた。動物の仕業なら可愛いもんだ、
とさほど気にはしていなかった。けれどしばらくそんなことが何日も続くと気持ちが悪く、窓の鍵を閉めるようになった。
しかし一向に解決されなかった。さすがに私も気味の悪さに、ビデオカメラを設置する事を思い立ち、さっそく翌日、
学校に行く前に録画設定ボタンを押してアパートを出ることにした。
その日の夕方、案の定今日も帰ると床には物が転がっていた。しぶしぶ物を拾い上げ、私は撮り終わったビデオを巻き戻し、テレビに繋いで中身を観た。
その瞬間、旋律が身体を走った。
押入れから斧をもった髪の長い女が、ズルズルと這い出てきたのだ。その女は床に身体が着くと立ち上がり、部屋の中をぐるぐると回り出した。
そして周囲の物を次々と床に落としていく。倍速でビデオを流すと、私が帰ってくる数十秒前にその女は、押入れの中に戻っていった。
恐怖が全身を硬直させた。
私は、震える足を引きずるように玄関の方へ後ずさった。今、この後ろの押入れの中にあの女が居る。変質者なのか、それとも…
考えている余裕などなかった。ただ、この部屋を早く出なければ、恐怖という名の本能が身体を動かした。
ガタン!!


623 2006/10/11(水) 18:47:14 ID:/W27Xmnn0
次の瞬間、押入れの奥から音がした。…ズザザ…ザザ…
足が…また思うように動かなくなった。呼吸すらうまく出来ているのか分からない。あまりの怖さに何を思ったのか、
私は地元にいる彼氏に助けを求めようと携帯を手にとった。アドレスから彼の番号を探し、通話ボタンを押す。
プー…プー…プー…
繋がらない。何度かけても話中になっている。…ズザザザ……
玄関まであと3メートル…どうしてもそれだけの距離を進むことが出来ない。
ズザザ…ザザ
耳に伝わる何かが這うような音…そしてそれは次第に押入れの戸に手を掛けてゆく。
ガリッ…!爪が戸に掛かった音がした。嫌に大きく響いた。涙が勝手に溢れてくる。恐怖が限界まで達した。けれど、声は出ない。
ピリリリリリ…ピリリリリリ…!
「っ!!」突然、、腰のそばで携帯が鳴った。心臓が止まるかと思った。必死の思いで携帯を握りしめると、
ふと彼が掛けてきたのだと頭の中を過ぎった。
「………っ!」
すがる思いで電話に出た。あいつがすぐ傍まで来ようとしている。…ズザザザ…
「もしもし!!」
「…ふふふ…私メリー。今、あなたの部屋の玄関前に居るの」
少女の幼い甲高い声が耳元で囁いた…