着信ありまくりんぐ


630 着信ありまくりんぐ1 sage 2006/10/12(木) 10:50:01 ID:hQcTR/W7O
私(理佐)は3連休となった週末に、幼馴染みの友達の領、宏一と3人で旅行に行く事になった。
しかしその内の1人、宏一は用事で深夜1時頃に民宿で合流する予定に変更になり、領と2人で旅行
先に向かう事になった。

旅行先は静岡県の内陸部で、領の車で軽快にドライブを楽しみながら、次第に都会から静かで穏やか
な自然へ風景は移り変わっていき、山からの涼しい空気が本当に心地よい気持ちにさせてくれた。

予約した民宿はこじんまり落ち着いた雰囲気の意外にきれいなロフトハウスで、木製の1人部屋
の洋室を私はすぐに気に入ってしまった。
夕食を宿泊してるロフトハウスの近くのレストランで済ませて、夜10時頃には領も運転の疲れで
「ごめん宏一が来たら起きるから、少しだけ寝かせて」と、自分の部屋に戻って寝てしまい、眠れ
ず取り残された私は、自室で暇を潰そうとロビーに向かった。
…というのも、このロフトハウスには暇潰し用のレンタルビデオも用意されていたからだ。

私は以前から見忘れていた洋画を見終わると、ビデオテープを返しに部屋を出ようとした。
…その時、バックの中の携帯電話が鳴り響いた……。

♪チャンランランランチャンランランラン♪
理佐「!?何…この着メロ……?」
こんなの聞いた事が無い……一体誰だろう?
そう思い、私はすぐに通話ボタンを押した。

『え、何それ……?じゃあ…………………ギャーーー!!!!!』

あまりの大声に携帯を切ってしまった……。
この声は聞き覚えがある……そう、自分だった……!

どういう事だろう?
携帯の履歴を調べると恐ろしい事が分かった。私は12時間45分後の自分からの電話を受けたのだった!
聞いた事があった。死の予告電話……、死ぬ直前の未来の自分からかかって来ると言う電話である。

631 着信ありまくりんぐ2 sage 2006/10/12(木) 10:58:20 ID:hQcTR/W7O
理佐「ヤバ…何か呪われてる……」
私は急いでビデオを返すと領のいる部屋に向かった。

しかし、部屋の前に来たところで、青白い顔で領がドアを開け飛び出して来た。まだ0時を過ぎた
頃…宏一はまだこないし、領もほとんど寝てないはずだった。

領「大変だ……宏一が……事故で……」
理佐「え……?」
領によると宏一は事故死らしく、ここに来る途中の崖から車ごと転落し、即死だったそうだ。
領はそういうと頭を抱えた。私も宏一の死にショックを受け、頭が真っ白になってしまった。

領「今日は遅いから明日の朝現場に行こう…」
理佐「うん…あのさ…」
領「どうした?」
理佐「ううん…ごめん…」
私は宏一の死で頭が一杯になり、電話の事は領に言えなかった。呪いとか冗談みたいな事をこの
状況では言えなかったからだ。

領「とりあえず朝までどうする?」
理佐「一緒にいようよ…」
領「ああ…来いよ」
領と一緒ならあと12時間30分はどうにかなるかもしれない。それに宏一の事を1人で考えたくはない。
……そう思い、領についていった。領の部屋に一緒にいると多少は不安が和らいできた…。

…………




632 着信ありまくりんぐ3 sage 2006/10/12(木) 11:04:22 ID:hQcTR/W7O
…ピ……ピ……ピ……

理佐「………?……ここは……どこ…?」
どこかの部屋だった。カーテン、ベッド、手すりとすべてが白い部屋…。
病室…?何で……?私はなぜか病室でベッドに横たわっていた。

「目覚めたか理佐!!ふぅ…」横から声がした………それは死んだはずの宏一の声だった!
宏一は疲れた表情を浮かべ、私に話しかけてきた。

宏一「長かったぁ……意識が戻って良かったぜ。メチャ心配したんだぞ」
理佐「宏一!!私、何があったの?」
宏一「事故だよ、心配したぜ…急ぎ過ぎて鍵の束を忘れて来たけどな」

…宏一によると私と領は静岡に行く途中で崖から落ち、領は即死、私は昏睡状態で病院に運ばれたらしい。
宏一の目の下にはクマが見える、ずっと見守っててくれたのだろうか…。

理佐「夢だったのかな…?私と領がロフトハウスに止まって、私が死の予告電話を
もらって、宏一が事故起こして死んだって…」
宏一「おいおい、人を勝手に殺すなよーw死の予告電話って何だって?変な夢見やがって…まあ、
理佐だけでも助かって良かったぜ。親友兼元カレとしては死なれたら最悪だしな…」
理佐「宏一…」


…そっか…領死んじゃったんだ……………夢の中の領の胸…暖かかったな…

私がそんな事を考えていると、病室の扉がガチャガチャと音を立てた…。
ガチャガチャ…
『ん?……ちょっと…なんで鍵が…』

領の声だった。
理佐「領!?」
領『理佐!?意識が戻ったのか?……おい開けてくれ、閉めたの理佐だろ?』

633 着信ありまくりんぐ4 sage 2006/10/12(木) 11:11:02 ID:hQcTR/W7O
理佐「今目覚めたの。ど、どういう事!?」
領『心労だろう、朝になって起こそうとしても起きないから、とりあえず病院に送ってもらった
んだ。精神的にダメージが大きかったのもあるしな…。まあ、お前は宏一を見なくて正解かもな。
落ち着くまでは少し休めよ、…なあ開けてくれ、飲み物買って来た…』

宏一「領…お前なのか……?」
領『……?おい、今宏一の声がしたんじゃないか!?理佐、どうしたんだ…?』
宏一「領!お前はもう死んだんだよ!!理佐まで連れて行かせないぞ!」
領『は?お前こそ…どうして……あんなバラバラな体で生きてるわけ……。…!!お前こそ理佐
を連れていく気だろ!?理佐…急いで開けてくれ!そいつは………!!』
宏一「だまされるな理佐!領は首の骨を折って即死だったんだ!生きてるわけがないんだよ!!」
領『そいつの話を聞くな、すぐに開けるんだ!』
理佐「どうなってるの!?」
領『分かった!!証拠に宏一の事故の写真をドアの下から入れるからすぐに開けるんだ!』
宏一「相手は幽霊だ!幻だって見せられるぞ!マジ落ち着け!」
理佐「ど……どうすれば……」


…………サーッ………!


私は急いで写真を見た………宏一の車が崖の下で無残に潰れている!!
(…ジャラジャラ……)

ドアの向こうから声がする。
理佐「何の音…?」
領『宏一の鍵束だ!そんなこといいから開けろ!!』



理佐「え、何それ……?じゃあ…………………」