星空を見上げる少女


634 本当にあった怖い名無し sage 2006/10/12(木) 14:06:52 ID:eRVcvbye0
男は今日も窓を見上げる。そこから見える少女の姿を求めて。

その男が少女の事を知ったのは、1週間前の寒い夜のことだった。
部屋の窓から満天の星空を見つめる美しい少女に、男は胸をときめかせた。
家庭もないこんなうらぶれた中年男が、年端もいかない幼い少女に思いを寄せる…
男はその現実に葛藤したが、彼の胸にはドス黒い欲望が蠢いていた。

その日から毎晩、男は少女を求めて窓の下に立った。
そして少女も毎晩のように部屋の窓から星空を見上げている。

男が少女を初めて見た日から1週間後のその日、星は厚い雲に隠れた。
それでも男は窓の下に立ち、少女もいつものように空を見上げていた。
それを見た男はニヤニヤと口元をゆがめた。
「そう…だよ……君はそうやって空を見上げて…いるときが一番美しいんだ…」

635 本当にあった怖い名無し sage 2006/10/12(木) 14:08:05 ID:eRVcvbye0
男は手にした紙袋をしっかり握りなおし、少女の家に入り込んだ。
家の中はしんと静まりかえり、電気ひとつもついていない。
そして家の中全体に腐肉臭が充満していた。

男は少女の部屋の前に立ち、中にいる少女に呼びかけた。
「お…お嬢ちゃん……き…今日はお洋服を持ってきたんだ。入……るよ。」
部屋の扉が開かれると、中からむせ返るような腐臭が漂った。
窓際にはぐずぐずと腐り始めた少女の死体が、天井から吊り下げられている。
「ふふ…ふ……もう…誰も僕らの邪魔…なんてしないから…ね。」
男は紙袋から小さなドレスを取り出すと、異臭を放つ少女の死体に手を伸ばした。

1週間前のあの日、男は少女に手をかけていた。
少女を手中に収めた愉悦に浸りながら、じわじわと絞め殺した。
邪魔な少女の両親を包丁でメッタ刺しにし、リビングを血の海に変えた後に。

けれど男はまだ知らない。
殺したはずの少女の両親の死体がすでにリビングになく、少しずつ、少しずつ
少女の吊られた部屋へ近づいていることを。