- 714 送り狼 ◆weJoc1mo9Y sage 2006/10/28(土) 16:30:38
ID:F1jzdPMD0
- 【その@】
とある中年夫婦が念願だったマイホームを手に入れた。 やや年数の経っている中古物件ではあったが、
内装の状態や立地条件からすればかなり割安だった。
引越しを終えたその日、妻が廊下の片隅で妙なものを見つけた。
それは使いさしの真っ赤なクレヨンだった。 少し不思議に思ったが、大方前の家主の忘れ物か、 でなければ不動産屋の落し物だろうと納得した。
その日の深夜、夫は引っ越し祝いに飲みすぎたのか、 尿意を催して目覚めてしまった。
用を足して寝室に戻る途中の廊下で、夫は微かな物音を耳にする。 カリカリというかゴリゴリというか、何かを引っかくような音。
なにぶん少し古い家のことなので、縁の下にでも 鼠か猫が入り込んで悪さをしているんだろうと気に留めなかった。
翌日、妻は昨日と同じ場所に赤いクレヨンが落ちているのを見つけた。 それでも「昨日捨て忘れたかしら?」程度で、深くは考えなかった。
……しかし、さすがに何日も同じことが繰り返されるとさすがに 自分の勘違いではないと気付き、夫に相談した。
夫も夫で、毎晩のようになぜか目が覚めてしまい、 そしてそのたびにあの何かを引っかくような音を聞いていた。
そこに妻から妙な話を聞かされたので、これは何かあるのではと疑い、 家のことを調べてみることにした。
家の中を注意深く観察した夫が妙な違和感に気付く。 何度測っても一階の廊下が小部屋ひとつ分短くなっているのだ。
- 715 送り狼 ◆weJoc1mo9Y sage 2006/10/28(土) 16:31:16
ID:F1jzdPMD0
- 【そのA】
妻と話し合った末、壁を壊して調べてみることになり、 意を決して壁の一部を引き剥がすと、その裏には扉が隠されていた。
隙間はテープで目張りされており、扉自体も厳重に板が打ち付けてあった。 夫婦は怪しみながらも釘を引き抜き、扉を開けて中へ入った。
そこは何もない、窓すらない小さな部屋。 そして壁一面に赤く書き殴られた「ここから出して」の文字…
恐怖に駆られた夫婦が部屋を出ようとした瞬間、 部屋の扉が勢いよく閉まって夫婦を部屋に閉じ込めてしまった。
夫が力を込めて開けようとしても、ドアノブはびくともしない。 そのとき夫の後ろで妻が声にならないような悲鳴をあげた。
扉の裏側にびっしりと、血のついた引っかき傷を見たからだった。 「…今日からは…三人で暮らそうね……」
夫婦の耳にはに小さな子どもの声が響いていた。
そして夫婦は行方不明となり、ローンの支払いが滞ったその民家は
競売にかけられることになった。
―――――数年後―――――
家の中を走り回る女の子の姿があった。
そして廊下の突き当たりで急にしゃがみこみ、何かを拾い上げた。 「ねぇママー、こんなところにクレヨンが落ちてるよー」
……いまひとつです……これを改変してってのがあったらプリーズです。
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