- 781 本当にあった怖い名無し
sage 2006/11/07(火) 00:09:18
ID:UJx3YIct0
- コインロッカーの話 起
「出来れば来たく無かったけど、仕方ないか・・・・・」
彼女はこの駅に人並みならぬ想いがある、その想いは世間に糾弾されて然るべきだが 何故か彼女に非難の声が浴びせられる事は無かった。
「暫く来ない内にココも変わったわね」
ひとり呟きながら色々と見回る。その時アレが視界に入った、あまり見たくない四角い箱。
そしてその傍らに景色と同化している様な可愛い少女。
「まだ有ったのね・・・ま、便利だし・・有って当たり前か・・・・・
あれ?あの子一人?・・・・・それにしても可愛い子ね、迷子かしら?」
- 782 本当にあった怖い名無し
sage 2006/11/07(火) 00:10:03
ID:UJx3YIct0
- コインロッカーの話 承
そう思いつつも気には止めずにホームへと歩く、あまりココには長居したくは無い。
ホームで電車を待っていると先程の少女が横に並んで来て私を見て微笑んだ。
(くそ〜、これが若さか・・・くやしいけどすごく可愛い。話かけてみようか?) 「ねぇ、カノジョひとり〜?」 「!?・・・・・・」
(あれ?引いてる、ドン引きしてる・・・いきなり話かけたから?) 「あーゲフンゴフン・・・・・ねぇ、あなた一人?」 「は、はい一人です」
「へぇ〜偉いなぁ〜、お母さんのおつかい?」 「!!!・・・いえ、違います」 (なんだろう?今すごい動揺してた、なんか暗くなったし)
プルルルルっとアナウンスが入る、電車が来た様だ 耳障りな音が消えると今度は少女が話かけてきた。
「実は私、母を探していたんです」 「やっぱり、迷子だったんだ」 「いえ、母は見つけました・・・でも、まだ気付いて無いみたい」
少女はそう言いながら自分の目元を指差し薄く笑った。
「ん?何?泣きほくろ?それがどうかしたの?」
「見覚えない?首の後ろ、それに手首・・・どう?」 「!!!!!・・・見覚えがある、ありすぎる。まさか・・・・・あなたは!」
「私の名前・・知ってるでしょう?」
そう言われて私は固まった、その所為か少女に軽く押されただけで私はバランスを崩し
ホーム下へと転落した。少女は私を見下ろしゆっくりと口を開いた。
「また一緒に暮らしましょう・・・お・か・あ・さ・ん」
- 783 本当にあった怖い名無し
sage 2006/11/07(火) 00:10:50
ID:UJx3YIct0
- コインロッカーの話 転
「んぁっ!!!・・・生きてる?・・・・・私生きてる〜!」
私は病院で目を覚ました。なんで生きてるんだろう?あの子はやっぱり・・・
助かったとは言え、体中あちこちが痛い。まぁいいや電車に轢かれなかっただけマシだ。 丁度、主治医の先生が来たみたいだから色々聞いてみよっと。
「おっ、目を覚ました様だね。どこか痛い所ある?」 「ええ、体中あちこち」
「うん、打撲だね。え〜と念の為に名前確かめますので名前言って下さい」 「木陰露華です」
「はい、こかげ・つゆか・・・さんっと、とりあえず打撲だけなんで明日にでも退院できますよ」
「あ、そうですか。じゃあ明日出て行きます、お世話になりました」
なんか軽い先生だな〜っと思った、私も軽いけど。
病室から出て行きかけた先生が振り返り再び私に話かけてくる。
「あ〜そうそう、お腹の子は大丈夫だよ、良かったね」
え?お腹の子?なにそれ、悪い冗談だな〜・・・・・ まさかあの子が、楼華が言ってた言葉の意味って!!
- 784 本当にあった怖い名無し
sage 2006/11/07(火) 00:11:57
ID:UJx3YIct0
- コインロッカーの話 結
数ヵ月後
人目を避けながら露華はコインロッカーの前に立っていた。
肩を震わせながらロッカーをゆっくりと開け何かを無造作に入れた。
「桜華・・・ごめ・んなさ・・い・ね。私、あなたとは・・・暮らせ無い・・のよ」
露華は震えを必死に止めると真剣な眼差しでその場から立ち去り呟いた。
「やっぱり・・・あなたにはそこがお似合いだわ。ねぇ・・・お・う・か?」
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