- 815 送り狼 ◆weJoc1mo9Y sage 2006/11/10(金) 00:26:02
ID:Knezl3WS0
- 題材は「足売りババァ」ですが、ほぼ創作…スレ違いかもです
【1/2】
その小学校では怪談がちょっとしたブームになっていた。
どれくらいの怖い話を知っているのかが一種のステータスとなり、 皆こぞってその手の話を調べては、学校に広めていた。
学校の七不思議をはじめ、コックリさん、メリーさん……etc 有名な怪談で語られていないものはほとんどないというくらいだった。
そんな怪談の中で、特に人気が高かったのがカシマさんやさっちゃんのように 聞いた人のところにその怪現象が訪れるという類の話と、
口裂け女のような、小学生が狙われるという話だった。 どちらにも共通しているのは遭遇した人の体を傷つけるタイプの話で、
「こうすれば回避できる!」という対処法があるもの。
そんな中、ある一人の生徒がまた新しい怪談話をもってきた。
それは『足売りババァ』と呼ばれる怪しい老婆の話だった。 道端で風呂敷包みを背負った老婆が「足はいらんかね?」と話しかけてくる。
そのとき「いる」と答えると足をもう一本くっつけられてしまい、 逆に「いらない」と答えると足を切り取られてしまうというものだった。
難を逃れるには「○○さんのところへ行ってください!」と言うのだそうだ。
この話を持ってきた子の語り口がとてもうまかったので、足売りババァの話はすぐに有名になった。
とはいえ小学校でのことなので怪談が苦手という子も多く、 O君という少年は口下手で怖がりだったので怪談話には参加しなかった。
出会ったときの対処法どころか、怪談の内容すら知らないものがほとんどだ。
反対にその親友のM君は怪談が大好きで、毎日のように他の友達との怪談話に花を咲かせていた。
- 816 送り狼 ◆weJoc1mo9Y sage 2006/11/10(金) 00:26:52
ID:Knezl3WS0
- 【2/2】
ある日M君はO君から借りっぱなしの漫画を読みながらうとうとして、妙な夢を見始めた。
M君が道を歩いていると、前から大きな風呂敷包みを担いだ老婆が歩いてくる。
そしてM君を見てニヤニヤと笑うと「なぁ坊や、足はいらんかね?」と聞いてきた。 あ! 足売りババァだ! 瞬間的にM君は理解した。
そして「O君のところへ行ってください!」と、とっさにO君の名前が口をついて出た。
………ルルル……トゥルルルルル………トゥルルルルル――――― M君は電話のコール音で夢から現実に引き戻された。
両親が共働きなので家には誰もおらず、仕方なくM君が電話に出る。
電話の相手はO君だった。普段から口下手なO君の声は、電話だといっそう聞き取りづらい。
どうやら返してほしいと言っているようで、M君は借りっぱなしの漫画を思い浮かべた。
「ああ、ごめん。漫画は明日返しに行くよ。」といったが、O君は「…違う…」と呟いた。
「え? じゃあ何を返してほしいのかはっきり言ってよ。」とM君が言うと、 受話器からではなくM君の後ろからO君の叫ぶような声が聞こえた。
「 僕 の 足 か え し て ! ! 」
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