夜はまだ明かない(雪山の怪)


924 1 2006/11/18(土) 02:48:33 ID:xTxwr+Sh0
元ネタは雪山の怪で。依頼の方の改変が出来て無くてスマソ
ちなみに一番最後の一文はかまいたちの夜のパクリな

雪山で道に迷って命からがら見つけた建物に入ると、そこには僕と同じように遭難した三人の男性がいた。
しばらく話し合った結果、僕達は一晩をこの建物で過ごす事にした。
ただ普通に過ごすのでは眠ってしまう恐れがあったため、全員が四隅にちらばり一人ずつ時計回りに回ってお互いを起こし合う、と言う方法を取る事にした。

一番初めは僕だった。僕は立ち上がると右側の隅にいる男性の元へ近寄った。
ギシ、ギシ、と静かに木の軋む音が建物内に響いた。建物は結構広く、なかなか隅へ到着しない。
中は暗かったため、前方五メートル程度しか把握できなかった。
やがて隅に到着すると僕は男性を起こしてその場に座った。起こされた男性は先ほどの僕と同じくまた歩いて次の隅に向かう。
ギシ、ギシ、と男性の歩く足音が響いた。

やがて三人目の男性が歩き始めた。ギシ、ギシ、と音が響く。
そして四人目の男性が歩き出した。

そこで僕は気付いた。
この方法は四人では出来ないことに。なぜなら一番初めに僕がいた場所には今、誰もいないのだ。
四人目の男性はその事に気づいていないらしく、ギシ、ギシ、と音を立てて最初の隅まで行くと、足音を止めた。

しばらく間があった。すると不意にドサ、と最初僕がいた隅から音がした。どうやら何かが倒れたようだった。
ギシ、ギシ、と足音が近付いてきた。僕は近付いてくる足音の正体を確かめようと凝視した。
暗闇から足が見えた。だが体は見えない。足は裸足だった。僕が知る限り、この場で裸足だった人間はいない。
ギシ、と音を立てて足が近付いてきた。少しだけ見える範囲が増える。今度は腰の辺りまで見えた。
またギシ、と音が鳴った。胸の辺りまで確認できる。足音の主は、酷い薄着だった。それはこの場ではありえないことだ。

夜はまだ明けそうにない。