- 934 送り狼 ◆weJoc1mo9Y sage 2006/11/20(月) 19:25:49
ID:jsbVcg6j0
- 【天井下り 1/2】
サークル仲間のアキ(仮称)が一人暮らしを始めるというので、
引越しの手伝いをかねて彼女の部屋に泊まりに行くことになった。 そのマンションの部屋は結構な広さで、駅からもそんなに離れていなかった。
それでも同じ条件の部屋で考えれば2割くらいは安いと、アキは得意そうに言った。
アキと私は、2人でふざけあいながら荷物を解いたり家具の位置を決めたりした。
以前何かのテレビ番組で敷金礼金の問題をやっているのを見ていたので、 入居時の部屋の写真もきちんと撮っておいた。
ただそのフィルムの半分くらいは、はしゃいでいるアキの写真になってしまった。 結局その日は夜までかかっても全部終わらせることが出来なくて、
ベッドもまだ組み立てていなかったので、寝るスペースだけを作った。 夏だったので布団も敷かず、クッションを枕代わりに目を閉じた。
深夜、私は顔に何かが触れるような違和感を感じて目を覚ました。 どうやらそれは、隣で寝ているアキの髪の毛が私の顔にかかっているらしかった。
すごく眠かったので、私は目を閉じたままそれを払いのけた。 そして再び深い眠りにつこうとすると、また髪の毛が顔にかかった。
きっとアキは寝相が悪いんだと思いながら、また目を閉じたまま払いのける。 そしてまた眠りにつこうとすると髪の毛……
眠気が引いて頭の冴えてきた私は、その髪の毛がおかしいことに気がついた。
アキの髪は確かに私よりは長いけど、それでも肩より少し下くらいでしかない。 よっぽど私に密着していないと顔にかかるようなことはないはずだ。
そして明らかにアキの髪より長いし、位置も真上からかかっているような感じだった。 怖いもの見たさもあってか、私は恐る恐る目を開いた。
- 935 送り狼 ◆weJoc1mo9Y sage 2006/11/20(月) 19:26:43
ID:jsbVcg6j0
- 【天井下り 2/2】
隣に目を向けると、アキはぐっすりと眠り込んでいた。
そして髪はやはり真上から垂れ下がっており、私はそれを目で追った。 次の瞬間、私は目を開けてしまったことを後悔した。
髪は天井まで続いていて、そこから髪の長い女が恐ろしい形相でじっと私を睨んでいた。
まるでそこから生えているかのように、天井から鼻より上半分だけ出して。 あまりの恐怖に私はそのまま気を失ってしまった。
翌朝、私はアキに起こされて目を覚ました。 私はアキに深夜の出来事を話して、この部屋はすぐに引き払うべきだと忠告した。
でもアキは元々幽霊なんか信じない人で、夢でも見たんだろうと言って笑うだけだった。
私は必死に訴えたけど、この部屋が気に入っているらしくて取り付く島もなかった。
一分一秒でも部屋にいたくなかった私は、説得するのをあきらめてそのまま家に帰った。
それから3日ほどして、私はもう一度アキを説得しようと彼女の部屋に行くことにした。
その途中で現像に出していた写真を受け取ろうと写真屋にも立ち寄った。 アキのマンションの前には何故かパトカーが止まっていて、人だかりが出来ていた。
マンションに入れなさそうなので、何かあったのかと警官の一人に尋ねてみた。
アキに用があって来たと伝えると、アキがあの部屋の中で首を吊って自殺したのだと教えられた。 3日前、私が帰ってからすぐのことだった。
警察には、あの日何かアキに変わったことはなかったかとも聞かれたけど、
アキが自殺するような動機は何もないし、むしろ一人暮らしを喜んでいた。
髪の長い女の話をしても不謹慎だと怒られただけで、信じてもらうことは出来なかった。
私は家に帰ってあの部屋で撮った写真を眺めていた。
生きているアキの最後の姿を収めた写真だったからだ。 その中の一枚を見て、私は思わず写真を投げ捨ててしまった。
その写真には、はしゃぐアキの首に天井から伸びた髪の毛が巻きついているのが映っていた。 それ以来、私はアキの死は自殺ではなかったと信じている。
私はもう二度とあの部屋には行きたくない。
- 936 本当にあった怖い名無し
sage 2006/11/20(月) 20:27:53
ID:6+b5QtGQO
- >>934
元ネタ解らないが、乙
- 937 本当にあった怖い名無し
sage 2006/11/20(月) 20:41:30
ID:Au7mQnOa0
- >>936
http://homepage3.nifty.com/taroza/yokaidaihyakka/tenjosagari.html
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